渡り鳥の旅路

元半導体系エンジニア、今Webエンジニアの雑記

数研講座シリーズ 大学教養 微分積分 第1章

はじめに

計算機科学の分野を学習する前に基礎数学のおさらいをするため、 まずは大学1年の範囲の微積分をやることにした。ちょうど数研出版からチャート式問題集と合わせて参考書が出ていたため、それをベースに学習する。

数研講座シリーズ 大学教養 微分積分|チャート式の数研出版

チャート式シリーズ 大学教養 微分積分|チャート式の数研出版

進め方

本を通して、下記のように目標を設定した。

  • 章末問題のうち計算問題は全て解けるようになる。
  • 証明問題への取り組みは任意だが、定理の証明は写経して理解する。一息で説明できるようになるのがベスト

直近で大学院入試や検定を受けるわけではないため、参考書のまとめ問題を解けるかどうかを基準とした。

また、各章の章末問題を元に何をゴールとすべきかあらかじめ想定しておくことにした。

例えば第1章については、

  • ある集合に対して有界であるかの判定をできること。
  • ある集合に対して、その極限を求められること。
  • ε-N論法を利用した収束の証明方法を理解すること。
  • コーシー列とは何かを説明できること。
  • (できれば)上極限と下極限とは何かを説明できること。
  • (できれば)小数展開とは何かを説明できること。

感想

数列の極限値を求めるだけなら、この章は必ずしも理解していなくても大丈夫かなと思う(そこは高校数学の範囲内)。 しかし現実的には、「相対した数列が収束するのかどうか」を計算前に判定する必要があり、その道具としてのアルキメデスの原理、ε-N論法を理解・習得することには意味がある。 また極限についての理解は、メイントピックの微分・積分でも必須となるため怠くても一度やっておいた方がよい。

あと割とyoutubeに解説動画が落ちてるので(これとか)、詰まったら活用すると便利。

メモ

1. 実数の連続性

実数を集合としてとらえ、その集合が持つ境界についての性質が整理されている。

  • 実数Rの部分集合に対する上界と下界(両方持つ場合は有界)の概念の導入
  • 有界である部分集合Sが上界/下界にもつ最小値/最大値をそれぞれSの上限/下限という
  • 実数の連続性:簡単に書くと「実数の集合にすき間がない」こと。
  • 実数の連続性公理(ワイエルシュトラスの公理):実数の部分集合Sが上に有界であるとき、Sの上限が存在する(下限についても同じ)
  • アルキメデスの原理:「任意の性の実数aと、任意の実数bに対して、an>bとなるような自然数nが存在する」。つまり、aよりbが凄く小さいとしても、aに十分大きい自然数をかければbより大きくなる、の意。 ※雑にググると浮力の話が出てくる。本書の話はこちら

2. 数列の収束と発散

数列の極限について整理されている。高校数学では直感的に求めた極限値を、ε-N論法を導入することで厳密に求められるようになる。

  • 数列{a_n}において、nを限りなく多くするとき、a_nが一定の値αに限りなく近づくことを「数列{a_n}が極限値αに収束する」という。
  • 数列の収束の定義:任意の正の実数εに対して、ある自然数Nが存在して、n>=Nであるすべての自然数nについて|a_n - α|となるとき、数列{a_n}はαに収束するという。
  • ε-N論法:上記の収束の定義を利用して、数列の収束をεとNを用いて議論する方法。
  • 収束する数列は、一意な極限値をもち、有界である。

3. 単調数列とコーシー列

ある数列{a_n}が収束ための条件が整理されている。

  • 有界かつ単調であること
  • コーシー列であること
    • コーシー列:雑に書くと「数列{a_n}について、ある2つの項a_kとa_l(k < l)の差は、k,lが大きくなるほど縮まっていくような数列であること」。数列が収束することと、コーシー列であることは同値である。

4. 発展:上極限と下極限

いったんおいとく

5. 発展:小数展開

いったんおいとく